こんにちは。
「totomeのパチンコ記録」へお越しいただきありがとうございます。
前回の第8話では、専業生活2か月目に入り、継続して結果を出し続けることの難しさを痛感した頃のお話をお届けしました。
千円あたりの回転数を正確に数えようとしても集中力が続かない。確固たる根拠もなく、ただ自分の都合の良い感覚だけで台を選び、結果が出なければ焦って他地域へと移動する。
そんな地に足がつかない不安定な立ち回りを繰り返した結果、3月の滑り出しは非常に厳しい苦境からのスタートとなった。
今回は、遊技の収支とは全く関係のない場所で突如として私を襲った、あまりにも理不尽な事件の記録である。
気分転換で向かったA店:根拠なきジンクスに頼った店選び
精神的な余裕を失った判断
3月のちょうど中旬に差し掛かった頃のことだ。
どこへ行っても厳しい結果が続いて精神的に追い詰められていた私は、重たい空気を変えるための気分転換も兼ねて、久しぶりに他地域にあるA店へと足を運んだ。
専業として独立する以前、まだアマチュアの会社員だった頃によく通っていた思い出深い馴染みの店舗である。
当時の私は、精神的な余裕を失っていたこともあり、「今日こそはここで流れを変えたい。悪いツキを落としたい」という非科学的なジンクスや思い込みだけで、その日の稼働店舗を選ぶことも少なくなかった。
今の私から見れば、データに基づかないあまりにも行き当たりばったりで根拠のない行動だと言わざるを得ないが、当時の私はまだ、この世界で生き残るための判断基準が何一つ定まっていなかったのである。
ミラクルフォースSPとの再会
不安と期待が入り混じる中で入店し、店内をぐるりと見渡すと、運良く西陣の名機『ミラクルフォースSP』のシマに空き台を見つけることができた。
実績もある相性の良い機種ということもあり、私は少しの希望を抱きながら迷わずその席へ滑り込んだ。
無制限札を獲得:ラッキーナンバー制をすり抜けた安堵
当時ならではのハウスルール
当時のA店には、朝の稼働を盛り上げるための独特のハウスルールが存在していた。
それは、「朝一番から数えて3番目までに大当りを引いた客に対して、無制限札を進呈する」というシステムです。
遊技環境が近代化された現代の店舗ではまず見かけない仕組みだが、当時の平成初期のホールにおいては、そこまで珍しいことではない一般的な光景だった。
この「無制限札」を自分の台に掲げることができれば、当時の主流だったラッキーナンバー制の制約に縛られることなく、閉店の瞬間まで獲得した持ち玉だけで有利に打ち続けることができる。
指定の図柄以外は持ち玉での遊技が禁止され、その都度現金投資を強いられるルールをすり抜けられるのは、専業にとって大きな強みだった。
久しぶりの良好な結果
この日の勝負では、幸運にも早い段階で初当りを引くことができ、見事にその特権を手に入れることができた。
それまでの連敗による重苦しい展開が嘘のように、その日は久しぶりに台の流れにも恵まれた。
ミラクルフォースSPが持つ特有の、次々と大当りが繋がっていく強力な数珠連チャンも綺麗に絡んでくれて、私の足元には少しずつ、しかし確実にドル箱の重みが積み上がっていく。
決して周りの目を引くような派手なプラス収支というわけではない。それでも、出口の見えないトンネルの中で厳しい結果に喘いでいた当時の私にとっては、十分に心を救われる貴重な結果だった。
「よし、これでようやくこれまでのマイナスを少しだけ取り戻すことができたぞ」
騒がしいホールの中でドル箱を見つめながら、私は張り詰めていた心の糸がふっと緩み、深い安堵感を覚えていたことをよく記憶している。
駐車場で見た信じられない光景:4本のタイヤに刻まれた無惨な悪意
異様な愛車の姿
ある程度のまとまったプラス収支を確保できたところで、これ以上欲を出して流れを悪くしたくないと考え、私はいつもより早い時間帯に遊技を切り上げることにした。
少しだけ軽くなった足取りで店舗を後にし、車を停めてあるいつもの駐車場へと向かった。
ところが出口を出て、自分の愛車まであと数メートルという距離に近づいた瞬間、私の目に何とも言えない奇妙な光景が飛び込んできた。
愛車の車高が、全体的に妙に低く沈み込んでいるように見えたのである。 最初の数秒間は、自分の目に映っているものが一体何なのか、脳が状況を正しく理解することを拒否していた。
しかし、不審に思って足元へ駆け寄り、タイヤ回りをまじまじと見た瞬間、私は頭を殴られたような衝撃を受け、その場で完全に言葉を失った。
完全に潰された4本の足回り
タイヤが4本とも、地面にへばりつくように完全に潰れていた。それは、偶然に空気が抜けたような、自然なアクシデントによるパンクなどでは決してなかった。
誰かが明確な悪意を持ってやったとしか思えない、あまりにも残酷なものです。
恐る恐るタイヤの側面を覗き込んで確認してみると、千枚通しのような先端が非常に鋭利な工具で、強い力で何度も突き刺されたような無惨な傷穴がいくつも開いていた。
しかも、それは嫌がらせのレベルを超えていた。
1本だけではなく、前後の左右、4本すべてのタイヤが同じように突き刺され、完全にペシャンコに潰れていたのだ。
あまりのショックで、警察への被害届を出すことすら頭から抜け落ちてしまうほどだった。
新品交換から3か月:非情な宣告と吹き飛んだプラス収支
打ち砕かれた淡い希望
呆然と立ち尽くす私の頭の中に、最悪の現実が次々と押し寄せてきた。実はその潰されたタイヤは、メーカー品でほぼ新品のタイヤだった。
まだ下ろしてから3か月ほどしか経っていなかったため、「ガソリンスタンドやショップへ持っていけば、傷口を塞ぐ修理だけで何とか直るのではないか」と、淡い希望を抱いていた。
何とか自力で車を動かせる状態にし、冷や汗をかきながら這う失意の状態で近くのタイヤ専門店へと車を持ち込んだ。
しかし、プロのピットスタッフから返ってきた宣告は、私の甘い見通しを無慈悲に打ち砕く、予想以上に過酷で厳しいものだった。
「お客さん、これだけ側面を深く刺されて穴が開いてしまうと、強度の関係上、どんな方法を使っても修理は絶対に不可能です。申し訳ないですが、安全面を考えたら4本すべてを丸ごと新品に交換するしかありませんね」
目の前が暗くなる突変的な出費
その決定的な言葉を突きつけられた瞬間、あまりのことに私は一瞬言葉を失った。
そして、全身の血の気が一気に引いていくのが分かった。 ホールでの遊技で厳しい結果が続いて精神的に苦しい思いをして、今日ようやくの思いでその一部を取り戻した。
その矢先に、それを遥かに上回る多額の突発的な出費が私を待ち受けていたのである。
言うまでもなく、タイヤ4本の全交換費用は、専業生活をスタートさせたばかりで資金的な余裕が全くなかった当時の私にとっては、目の前が暗くなるほどの出費だった。
今日必死に稼ぎ出したプラス収支等、一瞬で跡形もなく吹き飛んでしまう金額だった。
悔しさと情けなさで眠れなかった夜:理不尽が残したA店との決別
犯人の見えない怒り
新しいタイヤの手配を済ませ、何とか帰宅したその日の夜は、部屋の布団に入っても天井を見つめたままほとんど一睡もすることができなかった。
心の奥からどうしようもない悔しさが波のように何度も押し寄せてきた。
「一体誰が、何の目的でこんな酷いことをしたんだ。なぜ自分が、こんな理不尽な目に遭わなければならないのか……」
割り切れない思いと理不尽さに対する疑問が、いつまでも頭をぐるぐる駆け巡り、心が激しく掻き乱された。
もちろん、防犯カメラも普及していない時代のまだ日の高い、夕暮れの駐車場での出来事だ。
犯人の目星などつくはずもなく、警察に相談したところで今となってはその真相や動機を突き止める術はどこにもなかった。
理不尽なトラブルの教訓
ただ、この悲惨な事件を経て一つだけ、私の中で明確に変わったことがある。
それは、その日を境に、ただのパチンコ好きだった頃に愛したA店へ足を踏み入れることは、私の人生において二度となくなったということだ。
ホールで生じるマイナス収支は、自分の判断の甘さが招いた結果であり、すべて自己責任として受け入れる覚悟がある。
しかし、こうした自分ではどうしようもない人間の悪意が絡んだ理不尽なトラブルだけは、いくら立ち回りに気をつけていても防ぎようがなかった。
普段は意識していなかった店舗の駐車場ですが、このような予期せぬ出来事には、皆さんもいつ遭遇するか分かりません。どうか皆さんも注意してください。
【パチンコ昭和・平成レトロあるある:無制限札の争奪戦と駐車場トラブル】
◆ 朝一「先着3名」を巡る無制限札のデッドヒート
昔のホールでは「朝一から3番目までに大当りを引いた客に無制限札を進呈」といった先着サービスが定番でした。
指定図柄以外は毎回現金投資を強いられるラッキーナンバー制の中で、この先着3名の特権をGETできるかどうかは、まさにその日の勝敗を分ける天国と地獄の境目でした。
◆ 防犯カメラなき時代の「駐車場トラブル」
防犯カメラもセキュリティもない当時のホールの駐車場は、まさに無法地帯。
大勝ちした客への嫌がらせや八つ当たり、車上荒らしやタイヤへのパンク被害など、店外でのトラブルも自衛するしかない殺伐とした時代でした。
【この日の実戦から学んだプロの金言】
◆ 理不尽なトラブル(欠損)に感情を支配されない
パチンコを続けていると、車のトラブルや盗難、理不尽な連敗など、立ち回りとは関係のない災難に見舞われることがあります。
ここで感情的になり雑な稼働に走るのが一番の悪手です。
予期せぬリスクも計算に入れた上で「常に冷静に期待値を追い続けるメンタル」が必要です。
◆ 「ジンクスやオカルト」を捨て「データ」に逃げ道をつくらない
勝ちに恵まれない時ほど「馴染みのホール」「相性の良い台」という曖昧なジンクスに頼りがちになります。
しかし、専業として生き残るために必要なのは気分転換ではなく「回転数と期待値」という冷徹な数字だけです。
ブレをなくし、自分だけの稼働データを蓄積することこそが最大の防御になります。
自分を変えなければいけない:行き当たりばったりからの脱却
ブレまくっていた立ち回り
この災難に遭った当時の私は、日々の稼働で厳しい結果が続くたびに、目の前の現実から逃げるようにして頻繁にホールを変え、打つ機種をコロコロと変えていた。
ある日はメインの『綱取物語』にしがみつき、またある日は他地域の『ミラクルフォースSP』へ期待を寄せる。
一時的に良好な結果が出ればその席に座り続け、少しでも展開が悪くなればすぐに他の台へと移動を繰り返す。
そんな、場当たり的でブレまくった打ち方を日々繰り返していた。
強い危機感と決意
しかし、あのタイヤパンク事件をきっかけにして、私の内面で遊技に対する向き合い方が、決定的に変わり始めた。
「現状維持の、行き当たりばったりの立ち回りを続けていては絶対に駄目だ。今の自分にできることを、見直さなければならない」
愛車が無惨な姿になったあの駐車場での悔しさをきっかけに、私の中に強い危機感が芽生え、本気で自分を変えなければいけないと強く決意したのである。
少しずつ始まった記録作業:泥臭く積み上げるデータ
困難な作業への覚悟
自分を根本から叩き直すために、この頃の私が再び強い覚悟を持って正面から向き合おうとしたのが、千円あたりの正確な「回転数」の把握だった。
専門雑誌の誌面を開けば、高名なプロたちが異口同音にその重要性を唱えている。言葉の意味や理論としては、私も十分に理解できていた。
しかし、データ機のない過酷な環境の中で、雑音に惑わされずに毎回の回転数を正確に数え上げることが、どれほど困難で地味な作業であるかも、私は前回の挫折で身を以て知っていた。
千円あたり35回転未満は打てないレベル、論外の厳しい回りであるという当時のプロの厳しい基準を突き詰めるには、この壁を越えるしかなかった。
それでも、今の自分にできることから一歩ずつ始めるしかないと腹を括った。
「どれだけ途中で数字を忘れそうになろうとも、まずは泥臭く記録をノートに残すことから始めよう」
そう強く心に誓い、私はペンを握った。
根付き始めた地味な習慣
日々の正確な収支表の管理。
その日の立ち回りの問題点を客観的に洗い出すための反省ノート。
不完全ながらも打った台の回転数を細かくメモに書き留めていく作業。
まだまだすべてが手探りの状態であり、プロのデータ管理には程遠い粗削りなものであったが、自分だけの血の通ったデータを紙に残すという地味な作業を習慣ずける。
それが、少しずつ、しかし確実に私の日常に根付いていったのもこの時期だった。
私の専業生活2か月目となった1994年の3月も、決して順調な月ではなかった。
精神を削られるような厳しい連敗の連続。店舗の外で車を破壊されるという、理不尽な出来事。
自由の裏側に隠された、専業という孤独な世界の本当の厳しさと冷酷さを、私はこれでもかというほど身に染みて味わっていた。
それでも、私は毎朝起きると、吸い寄せられるようにしてまた狙いの機種のシマがあるP店へと通い続けた。
ここで折れて、コソコソと就職活動の世界へ引き返すような真似だけは、決めた以上は絶対にできなかったのである。
まだ諦めるつもりなど、毛頭なかった。
このような苦しい試行錯誤とトラブルの連続の先に、私のその後の人生全体の常識を、文字通り根底から大きく変えてしまうことになる。
そして、運命の「奇跡の一台」との衝撃的な出会いが、すぐ目の前まで迫っていた。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
次回、【第10話】運命の分かれ道|名作ドラム機『フィーバークィーンⅡ』との衝撃的な出会い(1994年3月21日)では、回転数を正確に記録するために、当時の私が編み出した各台に付いている灰皿を使った独自のカウント方法を振り返ります。
そして稼働中、偶然にも曲がらなかった一本の通路の先で運命的に出会った、私の人生のすべてを変えることになる三共の名作ドラム機。
いよいよ「運ではなく、明確な理由で台を選ぶ」という、真のプロフェッショナルとしての思考の芽が、私の心の中に少しずつ芽生え始めます。
どうぞお楽しみに!


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